音のヨガ・ナーダヨーガとは?宇宙は音の振動

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「ナーダヨーガ」を皆さんご存じでしょうか?ほとんど耳にしないヨガの名前なので、聞いたことがない方がほとんどだと思います。

「ナーダヨーガ」は、「音のヨーガ」と訳されます。これは新しいヨガのスタイルではなく、伝統的には「ハタヨーガ」の最終段階で「ナーダ(音)」が聞こえてくる段階のことをいいます。

最終段階と言うと、とても難しそうですが、ナーダヨーガの理論は、シンプルに言えば、宇宙全体、人間を含むすべてが、音の振動(ナーダ)から成り立っているという事です。この考え方が理解できれば、一瞬で世界の見方が変わりこの世界を俯瞰する視点を持つことができるようになります。

ぜひ、「ナーダヨーガ」の宇宙観について知り、ヨガや瞑想に音や音楽を取り入れて行くことをお勧めします。

それでは、「ナーダヨーガ」についてご紹介していきます。

 

ナーダヨーガとは

「ナーダヨーガ」とはサンスクリットで「ナーダ(nada)=音(振動)」と「ヨーガ(yoga) =繋がる」を意味し「音と繋がる」=「音のヨーガ」と訳されます。

これは音を通じ て内面の変容を促していくという古代インドから受け継がれたヨガの体系です。 「ナーダヨーガ」では、宇宙全体、人間を含むすべてが、音の振動(ナーダ)から成り 立っていると考えます。

現代の物理学でも光と物質は同じと見ます。物質の最少単位は、原子よりも素粒子よりも小さい振動で、振動数の違いによって異なる物質が現れると考えられています。

この点で、現代科学の観点と古代からある「ナーダヨーガ」の発想は矛盾しないと言えます。

「ナーダヨーガ」は、世界はナーダ(音)の宇宙法則によって展開されるという見方をします。「ナーダ音を追跡」する事で原初の状態・至高の状態へと到達しようとする伝統的ハタヨーガのテクニックの一つです。

音の2つの分類

「音」は外的音(アハタ音)と内的音(アナハタ音)2つに分かれます。

ナーダヨー ガでは「物理的な音である」外的音(アハタ音)から「物理的ではない」自分の 内なる音(アナハタ音)へ段階的に耳を澄ませていきます。

まず初めに2つの音についてついて下記に解説していきます。

1.外的音(アハタ/ahata)「打たれる音」

2.内的音(アナハタ/anahata)「打たれない音」

1.外的音(アハタ音)

両手を叩いた時にする音「打たれる 音」です。この音は、手を叩いた時に空気が振動し、耳の鼓膜にその震えが伝わり 脳がその振動を音として認識します。地上で私達が普段、聞くことのできるほとんどの音は外的音(アハタ)になります。

2.内的音(アナハタ音)

物理的な音ではない音のことです。 自分の呼吸音や、心臓が波打つ音に意識を集中させた後に聞こえてくる物理的ではない、スピリチュアルな音、内なる音のこと。この音は、心臓のチャクラのアナハタチャクラで受け取ります。

ナーダヨーガの最終段階で聞こえる内的音(アナハタ)は、インドの管楽器のバーンスリー(竹笛)や弦楽器ヴィーナ音のような音だといいます。

ヴィーナ

弦楽器ヴィーナ

バーンスリー

管楽器バーンスリー

アナハタ音(内的音)とヴェーダ経典の関係

インドに古くから存在するヴェーダ経典に記されているマントラな どは、聖者が宇宙の真空から受け取った「アナハタ音」だと伝統的に言われています。

聖者がアナハタチャクラ(心臓チャクラ)で「アナハタ音」として受け取ったアイディアをサンスクリットに翻訳して表したものがヴェーダ経典(知識)です。ちなみにヴェーダは、宇宙があってもなくても存在すると言われています。

ナーダ音の振動の質とその4段階について

宇宙はすべて振動(バイブレーション)であり、振動は全ての物質おいて、エネルギーの源として捉える「ナーダヨーガ」。

宇宙が音として出来上がっていく順番を1~4段階に分け、それぞれの振動の質を表します。

音の質について一番粗いものから最も微細なものまでを下記リストアップし解説していきます。

1.ヴァイカリー

2.マディヤマー

3.パシュヤンティー

4.パラー

1.ヴァイカリー

地上の音。人間の耳で聞き取ることのできる音。2つの音がぶつかり合ったときに出る音。スピーチや歌など、私たちが普段日常で聞くことのできる音全般のこと。

2.マディヤマー

中間の音。イメージしたものを言葉、音声や文に組み立てる段階。物理的な音に変換される手前の状態。この時、微妙なナーダ(音)が現れ始める。

3.パシュヤンティー

光。見られたものという意味。パラー段階で受信したアイディアをイメージ、視覚化した段階。音の質を視覚化した状態。

4.パラー

霊的な音。宇宙から飛んできたアナハタ音を受け取っている状態。オーム。

無限の波長を持つ超越的な音で、Om(またはAum)という音と関連している。超意識の状態で聞く、サマーディ(三昧)前の最終段階である。これはアナハタ音、打たれない霊的な音のことで、この音を聞くことが、ナーダ・ヨーガを実践する目的です。

音の女神サラスワティーについて


ここで、ヒンドゥー教では、音楽の神様としても知られている音の女神サラスワティーについてお伝えします。

サラスヴァティは芸術や学問などの知を司るヒンドゥー教の女神様です。日本では七福神の中の唯一の女神様、弁才天として知られています。夫は、ヒンドゥー教の最高神の一柱をなす創造神ブラフマー神(梵天)です。

サラスヴァティは水辺で、白鳥または白い蓮の上に描かれます。4つの手を持ち2つの手には、数珠とあらゆる知識が書かれているヴェーダ経典、両手には日本の琵琶に似たヴィーナとよばれるインドの弦楽器を持っています。この楽器を持つ姿から音楽の神様としてインドでは大変有名です。

サラスヴァティは、インドの最も古い経典「リグ・ヴェーダ」によると、聖なる川・サラスヴァティー川の化身でした。「流れる川」から転じて、流れるものすべて音楽、言葉、弁舌、知識を司る神様となりました。

聖人が宇宙や神から波動として受け取った知識(ヴェーダ)を文字として書き表すためのサンスクリットを創作したり、人類の始祖であるマヌを出産した母でもあるサラスヴァティはヒンドゥー教において最上の女神として信仰されています。

サラスワティ

サラスワティ

音の女神サラスワティーのヤントラ

宇宙を音であると見たとき、宇宙が音として創造されるのを図にしたものがサラスワティーヤントラです。ヤントラは宇宙の縮図といえるでしょう。

中央から順に音が粗大になっていく順を表しています。

中心から外に向かうのは「創造のプロセス」を現し、

外側から中心に向かうのは宇宙が想像される前の元の状態に戻る「帰滅プロセス」を現しています。

サラスワティーヤントラ図の外の円から内の円まで「ヴァイカリー 」→「マディヤマー」→「パシュヤンティー」→「パラー」の順で表されています。

中心の逆三角は原初の状態を表します。

「宇宙の創造」と「宇宙の帰滅」のプロセスを図として現わしています。

宇宙は振動でできているという考え方から、ナーダヨーガは生まれました。

そのため、音をたどって、宇宙の始まりに到達できると考えました。

サラスワティヤントラ

サラスワティヤントラ

このヤントラは身体に当てはめることもできます。

身体の場所:会陰あたり→スワヤンブーリンガ/開始(アーランバ段階)

身体の場所:胸あたり→バーナリンガ/壷(ガタ段階)

身体の場所:眉間あたり→イタラリンガ/蓄積(パリチャヤ段階)

身体の場所:頭頂あたり→ナーダ(シヴァの座)/完成(ニシバティ段階)

身体の場所:体と外の境目がなし。宇宙全体→ビンドゥ/ラージャヨガ(至高の境地)

プラナ

ハタヨーガの最終段階の4段階で聞こえるナーダ音について解説

ハタヨガの経典「ハタヨガプラディーピカ」の最終章には、「ラージャヨーガ」の極地に至るまでの4段階が解説されています。

「ハタヨガプラディーピカ」では「ラージャヨーガ」は最終極地のサマーディーのことを示します。一般的な「伝統的ヨーガ4種類」の中で知られる「ラージャヨーガ」=「瞑想のヨーガ」ではないのです。ヨガの歴史は長く、流派や文献も様々な為、こう言った事がよくあります。

ハタヨーガにおいて体にプラーナを通していく過程で聞こえてくる「ナーダ音」とその状態について下記に解説していきます。

1.アーランバ段階 ārambh ・開始
2.ガタ段階 ghaa・壷
3.パリチャヤ段階  paricaya・蓄積
4.ニシバティ段階 nipatti・完成

 

1.アーランバ段階:「始まり」の意味。

潮騒や雷鳴、シンバルのような音が「心臓チャクラ(アナーハタ)」から聞こえる。アヌロマビローマ(方鼻呼吸)を始めた段階。

プラーナが「みぞおちチャクラ(マニプーラ)」から「心臓チャクラ(アナーハタ)」へと流れ込んだ状態。

体が輝き良い香りがしてくる。病気から解放され、心身共に満たされる。

2.ガタ段階:「壺」の意味。これは「壺」を強く焼き固めるというイメージ。

太鼓(ダマル)のような音が、「のどのチャクラ」から聞こえる。

神と等しい智恵を得た者になる。

プラーナが「みぞおちチャクラ(マニプーラ)」から「のどのチャクラ(ヴィシュッダ」)へ流れ込んだ状態。

シヴァの持つ でんでん太鼓 ダマル

3.パリチャヤ段階 :「蓄積」の意味。

ムリダンガ(両面太鼓)のような音が「眉間のチャクラ」から聞こえる。

アートマン(真我)の喜びを得て、苦・老・病・餓え・眠気などの肉体的な苦痛から解放される。

プラーナが「のどのチャックラ(ヴィシュッタ)」から「眉間のチャクラ(アージュニャー)」へ流れ込んだ状態。

両面太鼓ムリダンガムPerformer Name: Patri Satish Kumar Musical Tradition: South, Carnatic

4.ニシバティ段階:「完成」の意味。

バーンスリー(竹笛)やヴィーナのような音が聞こえる。

プラーナ(シャクティ)がシヴァの座に到達し合体します。ラージャヨーガに到達。

プラーナが「眉間のチャクラ(アージュニャー)」から「頭頂のチャクラ(サハスラーラ)」へ流れ込みアムリタが滴った状態。

ヴィーナ Dr Jayanthi Kumaresh

★ラージャヨーガの境地

ついにラージャヨーガ(サマーディー)の境地に到達します。

言葉では到底表したり説明したりすることがない至高の境地、無上の歓喜と深い静粛を体験するといわれています。

ナーダヨーガ」の応用と実践

「ナーダヨーガ」は本来、内面の音に瞑想して行くヨーガですが、ナーダヨーガの音の理論や効果などを理解する事で、私たちの普段の生活にも簡単に取り入れる事ができます。

現在では、音の振動と共鳴を利用して、肉体的、心理的、精神 的レベルで様々な不調をケアしたり、整え改善していくツールとして音や音楽を組み合わせたヨガや、トリートメント、癒しの分野などで様々アプローチが行われてきています。

古代の賢者たちは音に瞑想することは自分自身と繋がることだと知っていました。それは、究極の自由であり、癒しでもあったのです。

波動で成り立つ世界において音や音楽の役割や可能性は無限だと思います。

声を出したり、歌を歌うこと、音楽を聞いたり、楽器を奏でたりすること、その一つ一つが人体も含めその他物質や非物質的な世界、そして宇宙へと何かしらの影響を与えているのかもしれません。

そう考えると、ヨガに於いて、神聖な音、オームやマントラを唱える事、チャンティング(歌)や楽器を奏でることが大切な教えになっているのにも納得が行きます。

楽しく気軽に取り入れることのできる音や音楽を日常生活やヨガのレッスンにとり入れてみてはいかがでしょうか?

おススメの音

インドの管楽器バーンスリー、弦楽器ヴィーナ、シンギングボウル、クリスタルボウル、マントラ、音叉など

シンギングボウル

シンギングボウル

まとめ

宇宙はすべて音(振動)で成り立っていると考える「ナーダヨーガ」について解説してきました。

●「音の2種類」は物理的な「外的音」と物理的でない「内的音」があります。

●「音の質は4レベル」は、最も粗雑なものから微細なものまで

1.ヴァイカリー2.マディヤマ→3.パシュヤンティー4.パラーとあります。

これは、「宇宙創造のプロセス」と「宇宙帰滅のプロセス」を意味しています。

この理論に沿って至高の極地に達するというのが「ナーダヨーガ」の思想です。

●「ハタヨーガ最終段階の4段階」には、1.アーランバ段階 2.ガタ段階 3.パリチャヤ段階 4.ニシバティ段階とあり、身体にプラーナを通していく過程での各段階で、内なる音ナーダ音が聞こえてきます。

最初の段階では粗雑な音が聞こえ最終段階では、インドの管楽器バーンスリーや、弦楽器のヴィーナなどの心地よく美しい音が聞こえてくるそうです。

「ナーダヨーガ」のプロセスや哲学は一見、複雑で難しいそうですが、シンプルに捉えるなら、音に瞑想し、自分と宇宙との源と繋がるというのが「ナーダヨーガ」です。

ヨガのレッスンにお気に入りのヨーガ音楽や音、マントラやなどを取り入れて、ヨガを楽しく続けて行きましょう。

最後までお読みいただきましてありがとうございます。